映画『国宝』ご覧になりましたか?
歌舞伎の世界を舞台に、
壮絶な人間ドラマと
芸道への執念を描いた
2025年の話題作です。
本記事では、
登場人物・花井半二郎(渡辺謙)の
病気と最期に焦点を当て、
「なぜ吐血したの?」
「糖尿病で亡くなったの?」という
疑問点に、
薬剤師の経歴を持つ筆者が
医学的な視点も交えて徹底考察します。
正直、難しい話は苦手なので、
医療の知識がなくても
なるべく分かりやすい内容を心がけました。
ぜひ最後までお読みくださいね!
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【ネタバレ注意】映画『国宝』あらすじと半二郎(渡辺謙)の最期
映画『国宝』は、
任侠の家に生まれた主人公・喜久雄(吉沢亮)が、
歌舞伎の名門・花井家に引き取られ、
芸の道に人生を捧げる姿を描いています。
喜久雄を引き取った半二郎(渡辺謙)は、
歌舞伎界の重鎮。
彼の実子・俊介(横浜流星)と喜久雄は、
兄弟のように育ち、
やがて舞台でしのぎを削るライバルとなります。
物語の終盤、半二郎(渡辺謙)は
長年の病に苦しみながらも「花井白虎」襲名披露の舞台に立ちます。
しかし舞台上で突然血を吐いて倒れ、
その後帰らぬ人となってしまいます。
この衝撃的な最期の描写が、観客に強い印象を残しました。
喜久雄と俊介の愛憎の関係、芸(才能)と血筋という2人の対比の描写が本当に素晴らしくて、萩尾望都の「半神」の中に出てくる"愛よりももっと深く愛していたよおまえを 憎しみもかなわぬほどに憎んでいたよおまえを"という言葉を思い出した。半二郎と半弥、2人はまさに半神だったのだな。#国宝 pic.twitter.com/ypSqZXolzf
— utatane (@utatane1943) June 10, 2025
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糖尿病で吐血することはあるのか?
糖尿病そのものが、直接吐血を
引き起こすことは、非常に稀です。
なぜなら、
糖尿病は主に血管や神経にダメージを与える病気で、
消化管からの出血(吐血)は通常、
胃や十二指腸の潰瘍、食道炎などが
原因だからです。
ただし、糖尿病が重症化すると、
免疫力の低下や血流障害が起こりやすくなります。
その結果、消化管の粘膜が傷つきやすくなり、
潰瘍や炎症が起こることがあります。
これが悪化すると、
まれに吐血を引き起こすケースも報告されています。
原因 | 吐血の頻度 | 主な理由・背景 |
---|---|---|
糖尿病そのもの | 非常に稀 | 直接の原因にはなりにくい |
糖尿病の合併症 | まれにあり | 消化管潰瘍や壊死性食道炎などを合併 |
一般的な消化管疾患 | 多い | 胃潰瘍・十二指腸潰瘍・食道炎など |
要するに、
糖尿病患者が吐血する場合、
その多くは
「糖尿病が間接的に他の消化管疾患を引き起こし、
その結果として吐血する」パターンです。
本編途中から糖尿病患者が吐血を引き起こす原因を考え始めた#映画国宝
— ゆきゃ (@youcaly0511) June 21, 2025
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半二郎(渡辺謙)の病は糖尿病だけではなかった?死因は膵臓がん?
映画では半二郎の病について、
糖尿病による体調悪化や視力低下が描写されています。
一方、原作小説『国宝』(吉田修一著)では、
「膵臓がん」も半二郎の死因として
描かれているそうです。
膵臓がんは進行が早く、
症状が出にくいため発見が遅れがちな病気です。
映画の中で、半二郎が襲名披露の舞台上で
吐血して倒れるシーンは、
糖尿病だけでなく、
膵臓がんの進行の影響があったと
考えるのが妥当だと思います。
半二郎の死は
「糖尿病と膵臓がんの併発」によるものと考えられます。
国宝を観に行く前に原作を読もうとAmazonで買ったら表紙が二重になっていて驚いた。 pic.twitter.com/to5l4KSAFi
— みんと (@washuhakka) July 5, 2025
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膵臓がんで吐血することはある?
膵臓がんで吐血することはありえる
膵臓がんで吐血することは
稀ですが、あり得ます。
膵臓がんが進行すると、
腫瘍が周囲の消化管(特に十二指腸や胃)に浸潤し、
潰瘍や出血を引き起こすことがあります。
これが原因で、口から血を吐く
「吐血」が発生することがあります。
吐血の原因 | 主な疾患例 | 膵臓がんとの関係 |
---|---|---|
消化管潰瘍 | 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 | 膵臓がんが浸潤すると発生可 |
消化管腫瘍 | 胃がん・膵臓がん | 進行時に周囲臓器へ浸潤 |
血管損傷 | 動脈瘤・静脈瘤破裂 | 膵臓がんが血管を巻き込むと |
母がずっと背中痛がってた後に吐血して病院に駆け込んだんだけど、最終的には膵臓がんって診断されてたよ。糖尿病の人は特に気をつけて欲しい…
— wq (@goemon_nico) January 29, 2021
(エコー検査で早期発見できる可能性があるって聞いたことあるけど、どうなのかね。)
膵臓がんの末期症状
膵臓がんの末期には、
以下のような症状が現れやすいです。
- 持続的な腹痛・背部痛
- 体重減少・食欲不振
- 黄疸
- 吐血・下血(消化管出血)
- 全身の衰弱感
特に、膵臓がんが消化管や血管に及ぶと、
消化管出血による吐血が起こることがあります。
医学的にも、膵臓がん患者の2~3%程度で
消化管出血が初発症状となることが報告されています。
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糖尿病と膵臓がんに関連はあるのか?
糖尿病と膵臓がんには「密接な関連」があります。
糖尿病があると、
膵臓がんの発症リスクが約2倍に
高まることが知られています。
逆に、膵臓がんが原因で、
新たに糖尿病を発症する場合もあります。
このため、2つの病気は
「双方向的に影響し合う関係」といえます。
関連性の方向 | 内容 |
---|---|
糖尿病→膵臓がん | 糖尿病患者は膵臓がん発症リスクが高い |
膵臓がん→糖尿病 | 膵臓がんがインスリン分泌障害を引き起こす |
■毎日飲酒は膵臓にもダメージ リスク高める10項目https://t.co/coTUlY8DIx
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) June 1, 2023
膵臓がんの発症リスクは糖尿病になると2倍以上、慢性膵炎になると10倍以上に。専門家は「6項目以上該当する人は要注意」 pic.twitter.com/xFhuS47qwO
糖尿病の発症から1年未満は
膵臓がんのリスクが特に高く、
その後も一般の人よりリスクが高い状態が続きます。
つまり、
半二郎のように糖尿病と膵臓がんを併発するケースは、
医学的にも十分あり得るのです。
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糖尿病で視力が悪くなるのは本当か?
糖尿病で視力が低下するのは本当です。
糖尿病は全身の血管にダメージを与える病気で、
目の網膜の細い血管も例外ではありません。
これによって「糖尿病網膜症」という合併症が起こり、
ひどい場合は失明に至ることもあります。

半二郎も目が見えていなくて、喜久雄が手を取って誘導して歩いていたよね
原作では、糖尿病網膜症からの緑内障で目が見えなくなったということらしい

糖尿病網膜症だけではなく、
白内障、緑内障も
引き起こしやすくなります。
合併症名 | 影響・症状 |
---|---|
糖尿病網膜症 | 網膜の血管が障害され視力低下 |
白内障 | 水晶体が濁り視界がぼやける |
緑内障 | 眼圧上昇で視野が狭くなる |
「国宝」の半二郎さん、緑内障なん?(原作) きついなー。
— ウオッカ (@vodka200404) July 5, 2025
糖尿病網膜症は日本人の失明原因の上位にあり、
血糖コントロールが悪い状態が
長く続くほどリスクが高まります。
「よく見えているから大丈夫」と油断せず、
定期的な眼科受診が大切です。
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糖尿病で俊介(横浜流星)のように足が壊死するのは本当か?薬剤師が見たリアル
糖尿病で足が壊死することは、
恐ろしいですが、現実にあります。
糖尿病が進行すると、
足の血管や神経が障害され、
ちょっとした傷や水虫から
感染が広がりやすくなります。
さらに、神経障害で痛みに気づかず、
症状が悪化しやすいのが特徴です。
NHKのスイッチインタビューで改めて、映画「国宝」は映像ならではの舞台の魅せ方だったと思う
— やさぐれねこ (@hirohiro_huhu) June 22, 2025
芸と血
喜久雄が喉から手が出るほど欲した「名門の血脈」だけど、一方で半二郎と俊介の身体を蝕む糖尿病の怖さをまざまざと見せつけられた
実際に私が薬剤師として病院勤務時代、
入院病棟に出向く事もあったため、
「足の壊死で切断を余儀なくされた患者さん」を
何人か見てきました。
足の指先やかかとに小さな傷ができ、
それが気づかぬうちに
感染・壊死へと進行してしまうのです。
壊死が広がると、最悪の場合は
足や脚の切断が必要になることが本当にあるんです。
リスク要因 | 結果・症状 |
---|---|
血流障害 | 傷が治りにくい |
神経障害 | 痛みや異常に気づきにくい |
感染症 | 壊死や切断に至ることも |
糖尿病患者さんは、
「痛い」とか感じないうちに病が進行していくため、
最初は危機感が薄いです。
その分、怖いんです!
毎日足を観察し、異変があれば
すぐに受診することがとても大切です。
俊介も脚の違和感を感じつつも
放おっておいたという描写がありました。
しかし、切断しないと命に関わると言われ、
しかも、膝下から切断とはかなり広範囲⋯
全く、治療していなかったのか?
不摂生が酷かったのか?
さすがに放置しすぎだし、
春江(高畑充希)も気づかなかったの?
呑気にバナナ食べてる場合じゃない!
と思いながら、観賞しました。
国宝で横浜流星演じる俊介も糖尿病で片足切断して入院したって言うのにベッドでバナナ食ってて「そういうとこだぞ!」とツッコミ。俊介の父渡辺謙も糖尿病で失明してるのに懲りない人たち…
— シン・ちびノリダー (@Ranchan2929) June 23, 2025
中野さんは前に辞書の盗作騒ぎで出てきた人ですね。
糖尿病は遺伝する?
糖尿病は「遺伝する場合も、しない場合もある」病気です。
1型糖尿病は遺伝の影響が少なく、
2型糖尿病は遺伝と生活習慣の両方が関係します。
種類 | 遺伝の影響 | 発症要因 |
---|---|---|
1型糖尿病 | 遺伝の影響が少ない | 免疫異常など |
2型糖尿病 | 遺伝の影響が大きい | 遺伝+生活習慣(食事・運動など) |
両親ともに2型糖尿病の場合、
子どもの発症リスクは一般より高くなりますが、
必ず発症するわけではありません。
映画で俊介に糖尿病が遺伝した描写は、
「血筋のつながり」を強調する演出意図も感じられます。
現実でも、家族に糖尿病患者がいる場合は、
生活習慣に気をつけて予防することが大切です。
(国宝ネタバレします)
— ますぱんだー 🐼🎬️📸⛄ (@gctmsm74) June 8, 2025
血といえば、襲名口上のシーンで、血を吐く渡辺謙さん、最高だった。手前の具合悪い感じをだす、からだの揺さぶりとか、一連の流れ。ぐはぁの後とかも。
血筋とは…みたいなものがあった。
あと、糖尿病が、結局大きく血筋を物語ってた気がする。遺伝する病かぁ…みたいな。
まとめ
映画『国宝』は、歌舞伎という伝統芸能を通じて、
人間の生き様と病との闘いをリアルに描き出しています。
半二郎の最期は、糖尿病と膵臓がんという重い病気が絡み合い、
医学的にも十分にあり得る展開です。
糖尿病や膵臓がんの知識を深めることで、
物語の奥行きやキャラクターの苦悩がより鮮明に伝わってきます。
医療の現場で見てきたリアルなエピソードも交えつつ、
映画と現実の接点を考察しました。
ぜひ、映画『国宝』を観た方も、これから観る方も、
健康や命について考えるきっかけにしていただけたら幸いです。
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